Story 老犬ライト 1.最後のお散歩

こんにちは。
《あかるく、あいかつ、あおい鳥》です。
 
青い鳥のシェルターには多くの犬や猫がいます。
ほとんどが保健所から引き取った子で
野良だった子も、飼主に捨てられた子も
迷子になって放浪していた子もいます。
来歴はどの子もはっきりとは分かりません。
人間を警戒し、なかなか心を開かない子。
人に慣れていてフレンドリーな子。
臆病な子、快活な子、温和な子と性格は様々ですが
どの子も幸せになる権利があります。
そして しい里親様に迎えられる日を待っています。
そんな中から10月に譲渡が決まった
ライトという老犬の話を何回かに分けてご紹介します。
 

 

◎10月1日(土)

 

  秋の始まりとはいえ その日は曇り空で

時どき降る小雨が

シェルターの屋根にあたってパラパラと聞こえるような

そんな静かな やさしい日でした。

  ライトはおぼつかない足取りでシェルター内を歩いています。

きょうの夜 里親様のお宅にトライアルに行くので

シェルターでの最後の散歩をしているのです。

 

 

  あたりが薄っすらと暮れてくる頃

シェルターの一室から

シャワーのリズミカルな音が聞こえてきました。

小さな雨の音を打ち消すように 

軽やかに シャーシャー シュワシュワと・・・。

「きれいになって里親さんのお家に行こうね」

 くんちゃんの優しい声に

ライトはおとなしくシャンプーされています。

 

 

「あの日もこうしてシャンプーしてやったね」

 くんちゃんの言うことが分かるのでしょうか

ライトはクーンと甘えるように声を出しました。

 あの日 7月11日

殺処分寸前の老いたオス犬を保健所から引き取った時も

あまりにも汚れがひどくドブ臭かったので

お湯をかけ ごしごじとシャンプーしてやったことを

くんちゃんは思い出していました。

 

 

「ほーら、きれいになった」

 ドライアーの温風に吹かれて ライトは気持ち良さそうです。

「さあ 今度はおしめをしますよ」

 ・・・そうです「おしめ」です。

ライトは高齢なので 里親さんのお家に連れて行く車の中や

また里親さんのお宅で粗相をしないように

暫くはおしめをして様子を見ることにしたのです。

  くんちゃんがライトにおしめを当てていると

シェルターのスタッフが笑顔で集まって来ました。

 

 

  おしめに戸惑いながら よちよちと歩くライトに

にこやかに笑いかけ 声をかけ

みんなはそれぞれに別れを惜しんでいます。
「3か月のお付き合いだったね」

「やさしい里親さんと出会えてよかったね」
「 幸せになるんだよ」

 こうしてライトはクレートに入れられ 車に乗せられて

 

くんちゃんとボランティアのひかるさんが同乗し

 

夜の道を里親さんのお家に向かいました。

 

そして里親さんのお宅に着きました。

 

もちろんおしめをつけたままです。

 

  その夜 青い鳥の人たちは

LINEでこんなふうに話を交わしました。

?

23:02 グミ: 幸せになってくれたら嬉しいです。らっぱみたいに力強く鳴くライトの声がシェルターから聞こえないのが寂しいです(>ω<、)

23:05 れいこ:りゅうの次にライト。みんな幸せになってゆくね。

23:08 よっぴー:うん。最期を看取ってくれる人・・・青い鳥にもようやく そういう優しい里親様が、ついて下さるようになったんだね。

23:10 K:ようやく・・・ですね。ありがとうございます。
23:12 くんちゃん:ライトくんは、とても落ち着いていて、段ボールのベットでくつろいでいました。もうお年寄りで先が短いので、好きなだけ甘やかして頂くようにお願いしました。防府市なのでいつでも会えます?一緒に遊びにいきましょうq(^-^q)

 

続く・・・

 

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