Story 老犬ライト4.赤い靴と散歩

こんにちは。

《あかるく、あいかつ、あおい鳥》です。

 

出会いのふしぎ。

あの日の出会い。

 

これは27日に開く譲渡会の

ヘッドコピーです。

犬や猫が口をきけたなら

きっとこう呟くはずです。

もちろん里親様も同じように

「あの日の出会い」を

話してくれるでしょう。

その1例としてお届けして来た

ライトと里親様のStory

最終回です。

 

◎朝の光 10月2日(日)

 

 

こんなにぐっすりと眠ったのは 何年ぶりかな?

シェルターの仲間たちの鳴き声がしない。

きれいな部屋。やわらかい朝の光。

食べもののいい匂いがしてる。

あ、あの人の匂いもする。

「おはよう。死んだように眠ってるから心配したわ」

あの人のやさしい声。

 

ワタシは今日から

この家に住むことになったようだ。

もうよくは覚えていないのだけれど

飼い犬だった頃のこと

幸せだった頃の思い出が

薄っすらと浮かんで 消えた。

あんな楽しい日々が戻って来るのか?

 

「おはよう」

あの人がまた言った。

「お腹すいたでしょ」

ワタシは嬉しくてしっぽを振る。

今日からずっとこの人と一緒なんだ。

 

あ、おむつ・・・?

ワタシがくんくんお尻を嗅ぐのを見て

「もういいよ。大丈夫」

と言ってあの人が笑う。

 

ワタシは立ち上がって あの人を見る。

ワタシにも まだ

こんなに優しくほほ笑んでくれる人がいた。

嬉しくてしっぽを振った。

昔のように千切れるほどは振れないけれど

何度も何度もしっぽを振った。

 

 

◎赤い靴と散歩

 

この家で暮らすようになってから

もう3週間くらいになるだろうか。

ボランティアのひかるさんが訪ねて来た。

「ライトぉ、元気?!」「やあ、ひかるさん」

 

あの人がワタシを庭に連れ出す。

「食欲旺盛で、普通のフードはあまり食べないの。

美味しいものばかり欲しがるようになって」

と、いつものようにやさしく笑う。

「まあ!」とひかるさんも笑う。

 

「お散歩が大好きでね、

1日何度も出かけるのよ

 

「足腰を強くするために、

軽い散歩を・・・5回くらいかなぁ」

「え、1日に5回ですか?」

とひかるさんが驚いて声を上げる。

 

ワタシはあの人と散歩する。

赤い靴と一緒に歩く。

もう誰からも追われたりしない。

安心して街を散歩する。

 

あの人の赤い靴は

ワタシの歩調に合わせて歩いてくれる。

タン タン タン タンとリズムをとって

ゆっくり ゆっくり 歩いてくれる。

街の匂い。

ワタシが住んでもいい街の匂い。

 

そして

「お疲れさま」と言ってリードを外してくれる。

やさしい声。やさしい手。やさしい人。

殺処分されていたかも知れないワタシとの

ふしぎな出会い。

 

Right

形容詞:【右の・正しい・当然の・真っ直ぐな・権利】

雄・年齢不明(15歳くらいか?)

趣味:1日5回の軽い散歩

嫌いなもの:酷いことをする人間

好きなもの:やさしい人(*この人)

 

*雨天でも開催します。

多くの方々のご来場をお待ちしています。

 

 

応援よろしくお願いします。
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