おはようございます。
《あかるく、あいかつ、あおい鳥》です。
「会うは別れの始め」という言葉があるように
出会いと別れは人の世の常ですが
犬や猫の生にもそれはあります。
青い鳥に収容されて来る子たちが
里親様と出会ってシェルターを出て行くまで
その期間も長短さまざま。
保健所から引き取った翌日にトライアルされる子もいれば
シェルターで何か月も暮らす子もいます。
それを左右するのは可愛さだけではありません。
運としか言いようのない巡り合わせで
里親様との絆の糸が結ばれたり
ほどけてしまったりします。
今回のStoryは
そんな運命の糸に翻弄されながら
転がる石のように二転三転し
10か月もかかって
ようやく幸せな家庭にたどり着いた
けなげな犬の女の子「はな」の物語りです。
●1月 ― 保健所より引き取る ―
はなは今年1月に保健所から引き取った兄妹の1匹。
(写真左端)この時はまだ生後1・5か月くらいでした。
はなは
兄妹たちと過ごしたこの頃が
はなにとっては一番楽しかった時かも知れません。
やがて1匹2匹と譲渡されて行き
はなにも譲渡の時が訪れました。
●2月 ― 少女との出会い ―
はるがその少女と出会ったのは2月。
春まだ浅い頃でした。
母親と一緒にシェルターを訪れた少女は
はなの前で立ち止まり
「この子がいい」と言って抱きしめてくれました。
そしてはなは防府市から
数百キロも離れた遠方に譲渡されて行きました。
ひと月ほど経って
里親様からお便りが届きました。
そこには数枚の写真とともに
すっかり家族の一員となったはなの様子が
楽しそうに綴られていました。
少女の膝にしっかりと抱かれたり
少女の後を追って散歩するはなの
ほほ笑ましい姿が印象的でした。
はなはこの少女のことが忘れられなかったらしく
後に私たちの涙を誘うような出来事がありました。
それはまた後の話です。
●4月 ― シェルターに戻る ―
4月になってから突然里親様から
「事情があって引っ越すことになったので
はなをひと月ほど青い鳥で預かってもらえないか。
転居先が落ち着いたらまた迎えます」
という申し出がありました。
青い鳥では一旦譲渡した犬や猫を
預かることは原則としてお断りしています。
しかし里親様の緊急のご事情をうかがい
「必ず後日引き取る」というお約束で
例外としてはなを預かることにしました。
遠方から空輸されて来るはなを
空港まで引き取りに出かけ
約ひと月ぶりにはなは戻って来ました。
シェルターでは同じ月齢のユキと仲良しになり
毎日一緒に遊んでいましたが・・・
ユキとの別れの日がやって来ます。
●5月 ― 仲良しユキちゃんとの別れ ―
ユキは5月に譲渡されて行きました。
はなの世話をしていたボランティアさんやスタッフは
「ユキがいなくなって寂しいだろうけれど
もうすぐお姉ちゃんが迎えに来てくれるからね」
とはなに声をかけながら
飼い主さんの連絡を待っていました。
その間に里親様からは
「6月に迎えるのは難しいのでもう少し待って。
費用を払うので避妊手術をよろしくお願いします」
と連絡があり了承しました。
「もうすぐお迎えだね」と何度もはなに語りかけながら
皆でその日を待ちわびていたのです。
●7月 ― 帰る家がなくなった ―
4、5、6月と3か月の間
はなは飼い主さんの迎えを待っていました。
お迎えをひたすら信じて待ち続けたのです。
7月になって はなを飼い主さんに返すために
再び空輸の準備を進めている時に突然
「引き取る積りでいたけれど
事情が変わってどうしても飼えなくなった。
そちらで新しい里親を探して欲しい」
と飼い主さんから連絡が入りました。(もちろん先方にも深刻な事情が
あったことは理解していますが・・・)
それに抗議することもできました。
しかし はなの幸せを第一に考えた時
私たちには選択の余地はありませんでした。
「はなを青い鳥で引き受ける」
という道しか残されていませんでした。
(ボランティアさんに抱かれたはな)
その後も「はな」にはさまざまな事が起こり
まるで「転がる石のように」
(ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランに
Like A Rolling Stone という歌がありましたね)
人間社会に翻弄されて行きます。
でも はなは持ち前の明るさで
シェルターのアイドルになって行きます。
続く・・・