Story サチとキチ3.命をかけて・・・

おはようございます。

《あかるく、あいかつ、あおい鳥》です。

 

5月5日にトライアルに行ったサチの里親様から

二十日ほど経って

封書の長いお手紙が届きました。
 

 

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 先日は遠方より「サチ」をお連れいただきましてありがとうございました。多くの仲間から離れ、見知らぬ場所に連れて来られて、さぞや心細いでしょうに、今の環境に馴染もうと彼女は一生懸命頑張っています。

 

 朝五時半にかけて散歩をすませ、軽くごはんを食べて、夕方は七時くらいまでに食事をすませ、じきに就寝というのが彼女の一日です。 

 

 今まで多くの犬猫達にかかわってきましたが、失敗も数限りなくありました。もの言わぬ動物だけにもっと彼等の心を読んでやらなければならないのに、中々理屈通りには行かないのが現状です。

 

 今、私はとても幸福です。多くの動物たちに囲まれ、笑いのない日はありません。

  でもこの幸福も旅立っていった子達の上に作られていったものです。先に旅立った犬猫達は虹の橋のたもとで、飼い主が来るのをずっと待っていると聞いたことがあります。

 

 そのことを自他共に認める無神論者の夫に時々話したものですが、そんな私を彼はよく馬鹿にしておりました。

 ところが、夫が旅立つ二、三日前のことでしたか、病院に出向いた私に向かって、

「昨夜猫が見舞いに来てくれた」と言うではありませんか。

  誰が来てくれたの?と尋ねると、既に旅立ってしまった子ばかり、五匹の名前を申しました。でも犬は来てくれなかったと。

 

 もちろんこれは夫の妄想ではありません。そういうものを引き起こすような薬は一切使っておりませんでしたし、彼は最期まで確かでしたから。

 でもまさか夫の口からそんなことを聞くとは夢にも思っておりませんでした。虹の橋のことは、私自身どこか半信半疑のところもありましたので、夫の話に不謹慎ではありますが、ある種の感動を覚えたものです。と同時に夫の死がそんなに遠くはないことも確信しました。

 あの子たちは、旅立つ夫が一人で寂しくないようにと迎えに来たのでしょう。 

 

 夫を送り私は寂しさと共に自由を手に入れました。

 独身の頃からずっと夢見て来た犬猫達とのステキな生活。それを今から実現していこうと思っています。私に残された時間で、彼等のことは命をかけて守りぬいて見せます。

 これが私の人生です。そういう対象に出会うことができた私は幸福者です。そして、そういう時間を私に与えてくれた目に見えぬものに対して感謝です。

 

 実際のところ私にどれほどのことができるかわかりません。でもサチに残された時間を共に生きて行こうと思います。サチに深くかかわって下さったボランティアのSさんに、どうか暮々もよろしくお伝え下さいませ。

 柴犬は昔を忘れることができないと申します。

 サチの喜びも悲しみも全てをひっくるめて正面から受け止めていくつもりです。もしも時間が許せばあの子に時には会いに来てやって下さい。

 

 今、貴女方が取り組んでおられることに終わりはないことだと思います。生命にかかわることはそんなに簡単に言葉でいいあらわすことのできるものでもないです!ましてや心に傷を受けた子達への対応はこれといったきまりもないと思われます。

 

 言葉にできない苦労が多いことでしょうが、どうか皆様、お身体だけは暮々も大切になさって下さい。

 貴女方の元気は動物達の元気です。遠くから幸せを祈っております。そしてこの縁に心から感謝申し上げます。

 とり急ぎ乱筆乱文悪しからずお許し下さい。

 

追伸

  サチのつけていた首輪、あの子には小さくなってしまいましたので、お返しします。まだ傷んでないので使えると思います。ボウルと共に他の子に使ってあげて下さい。

 

????

お手紙しみじみと拝読いたしました。

メールやLINEが普通となった今

封書で送られて来るお手紙には

深い味わいがあるような気がします。

どうした作用によるものでしょう?

便箋、ペン、筆圧、封筒、切手

郵便ポスト、郵便局、仕分け、配達・・・

多くの道具と、手間と、人の手を経て

まるで

時間空間を旅するあいだに文章が洗われ

書き手の思いも 読み手の想いも

濾過されてゆくようです。

ふしぎです。

 

さて最終回は

シェルターで暮らすキチたち

老犬のあれこれを紹介したいと思います。

 

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