青い鳥文庫4.犬たちを救え― アフガニスタン救出物語り

おはようございます

《あかるく あいかつ あおい鳥》

 

春の繁殖シーズンで

保健所にはどんどん犬猫が収容され

青い鳥も力の続く限り

(もうとっくに限界を超えているのですが)

行き場のない子たちを引き取っています。

 

「もう殺処分ゼロを続けるのは無理」と

いずれ諦める時が来ることはわかっています。

でも人間の都合でガス室に送られる子のことを思うと

「あと1匹。あと1匹だけ」と気力を振り絞り

その子の居場所をつくることを

どうしてもやめられないのです。

 

そんなヤケ気味になったある日

読書家のランさんに聞いてみました。

「極限に近い状態でも

動物を助けようとした物語りはある?」

「あるわ」と即座に応えたランさんに驚き

感心して見つめてしまいました。

 

「阪神・淡路、東北、熊本。

震災があるとすぐに動物愛護団体が

現地に駆けつけるでしょ。

そういう被災地での活動レポートは

何冊もあるけれど

わたしのお薦めはこれね」

 

不屈の海兵隊魂が

戦場の犬たちを救う熱い物語り

 「犬たちを救え 

アフガニスタン救出物語」

ペン・ファーシング

(北村京子=訳 作品社 2014年)

chiro ラン

ちょっと想像してみてください。

あなたが犬好きで

兵士として海外に派遣され

戦闘状態が続いている町で

虐待されている犬を見かけたら

どうしますか?

 

 私なら自分の命を守るだけで精いっぱい

とても犬を保護しようなんて思えません。

それどころか

犬の姿に心を痛める余裕すらないかも。

 

でも、そんな過酷な状況下でさえ

犬を救おうとする人がいるんです。

この本は実話ですが、戦火にさらされる町で

兵士と犬が心を通わせる物語としても

格段に面白く、感動的で

まるで冒険小説のように読むことができます。

 

* * * * *

 

  イギリス海兵隊員のペン軍曹(著者)は

二十名の部下とともにアフガニスタンに派遣され

タリバンの迫撃砲が飛んでくる拠点で

二カ月間の任務に就きます。

電気も水道もなく砂埃が舞う土地は

昼は熱暑となり夜は酷寒となります。

そうした過酷な環境におかれた著者は

やがて1匹の犬と出会います。

アフガニスタンでは

数百年前から続く闘犬の風習があり

闘いに適した大型犬の耳と尾を

麻酔もなしにナイフで切り落とし

娯楽のために犬同士で闘わせていました。

著者が見た犬も、土地の警察官たちが

闘犬用に捕らえ拘束している野犬で

細い針金を何本かより合わせて作った

リードを首と足に巻きつけ

動けないように繋がれていました。

 

その哀れな姿を目にした著者は

どうしても見捨てておくことができず

警官たちから奪い取るようにして

軍の敷地内に連れて来ます。

もちろん現地と揉める原因になりますし

軍規にも反する行為です。
 

でも、そこは動物愛護精神が強いイギリスのこと

上司も見てみぬふりをします。

著者自身も保護した犬をどうすればよいのか

当てがあるわけではありません。

しかも、拠点内に迷い込んでくる別の野良犬もあり

その雌犬から子犬が産まれ・・・と

いつの間にか成犬4匹、子犬14匹の

数にふくれあがってしまいます。

というと、著者はよほど動物愛護の気持ちが

強かったのだろう、と思いますが

序文で著者はこう述べています。

  動物の救済活動についてなど、はるか昔にほんの少し耳にしたことがある程度で、その実情はまったく知らなかった。ときどきはお金を寄付して、あとはどこかの誰かがなんとかしてくれるだろうと思っていた。     直接何かを手伝おうにも、わたしは自分の生活で手一杯だったし、それに本当のところ、未来も希望もないままケージや小屋のなかで暮らすあの動物たちについて、真剣に考えたことは一度もなかった。
 

動物愛護に携わる人の多くが述べているように

著者も最初から熱い意志があったわけではなく

虐待を見過ごすことができず

やむにやまれぬ成り行きから

犬を次々に保護して行くことになったようです。

 

この総勢16匹の犬を

迫撃砲が飛んでくる中で著者がどのように餌を与え

寒さを防ぎ、戦場から脱出させるか・・・。

話しの顛末に興味を抱いた方は

ぜひ本を読んでいただきたいと思います。

 

最初に述べたように冒険小説のように面白く

また感動的な展開と結末で

私は最後まで夢中になって読み通すことができました。

 著者は帰国してから、やがて軍を退役して

アフガニスタンの動物を保護する団体を立ち上げます。

そして今も活動を続けています。

最後に序文の続きを紹介しておきます。

    それにしても、動物たちの実情をこんな形で知ることになろうとは! 同時にわたしは、動物救済団体の人々が日々直面している、圧倒されるほどの仕事量と日常的なストレスにも気づかされた。

 すべてを変えたのは、虐待され、ボロボロになった一匹の闘犬だった。彼には楽しみにする未来もなく、あるのはただ絶え間ない空腹と、ほかの野犬と戦わされて受けた怪我の痛みだけだった。

 わたしが「ナウザード」と名づけたその犬は、人間が代弁しない限り主張する声も、希望も持たない動物たちが生きている絶望の世界への窓を開いてくれた。わたしがかつて、一度ものぞいてみようとしなかった窓だ。
 (中略)いまのわたしは、お腹をすかせ、家もなく、アフガニスタンのさびれた路地裏のゴミ溜めのなかで暮らしている、わたしがまだ会ったことのない犬たちのために、自分が何かしら前向きなことができることを知っている。

 いやぁ熱いですね。

不屈の海兵隊魂、だけれども・・・

極限の状況下だからこそ気づいた

生きるものへの愛おしさ。

それが動物愛護に向けられた感動の1冊です。
 

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