おはようございます
《あかるく あいかつ あおい鳥》
このブログを読んで下さっている方には
お分かりのように
シェルターの子たちの死を
隠さずにきちんとお伝えしています。
最近ペットの寿命は長くなって来た
とはいえ十数年。
人間に較べてはるかに短い生を
かれらは駆けぬけて行きます。
当然わたしたちはその死に
何度か出会うことになります。
犬猫合わせて160匹ほど抱えているシェルターでは
たびたび死と出会うのは避けようがありません。
かれらのために懸命に働いているのに
死なれると、そのたびに
「幸せにしてやれなかった」
と深い悲しみに襲われます。
だからといって
いつまでも悲しんでいては
毎週のように保健所に収容されて来る
子たちを救うことは出来ません。
そんな中で
ある里親様から聞いた
ペットロスのお話を紹介します。
あいかつイソップ
第九話 その1
その方は50代半ばの女性で
子どもの頃にペットと暮らした経験はなく
30年ほど前に結婚され
すぐにペットショップで子犬を手に入れました。
犬を飼うことは
奥様の長年の念願だったそうです。
やがてお嬢さん息子さんが生まれ
犬と二人のお子さんの世話で大変でしたが
家にペットのいる暮らしは
素晴らしかったと振り返っています。
以下はその里親様の話です。
◎ ◎ ◎ ◎
子どもたちにはもちろんのこと
私たち夫婦にとっても
犬と一緒に暮らすのは初めての経験だったので
ペットがどういうものか
良くわかっていなかったのです。
その犬(チロという白いオスでした)が長男で
娘と息子がその兄妹というように
文字どおり家族の一員として
それはそれは仲が良くて・・・。
お陰さまで二人とも優しい子に育ち
子どもたちの情操教育には
とても良かったと思っています。
もちろん主人も
仕事から帰ると毎晩チロが
大喜びでお出迎えするので
「チロは俺の栄養ドリンクだな」って。
あの子にはみんなどれほど癒されたか知れません。
そして子どもらが中学に上がった頃から
チロに老化が見え始めました。
知識としては知っていても
日に日にお爺ちゃんになって行くチロを見ているのは
辛かったですね。
2階への上がり降りもしんどそうで
あんなに好きだった散歩も行かなくなり
お腹に腫瘍が見つかった時にはもう手遅れ。
ひと月きもしないで旅立ちました。
ええ、悲しかったです。
毎日がどんよりした曇り空みたいで
ペットロスってこんなに辛いもんか
って思いました。
ご近所のペット好きの方や
何匹も飼育経験のある友達からは口々に
「新しい子を飼えば哀しみも薄れるわよ」
と言われ、次の子を勧められたけれど
とてもそんな気にはなれなかった。
それどころか
「なんだろ この人たちは?
チロはあなたたちのペットとは違う
わが子同然の特別な存在だった。
直ぐに次の子をもらうなんてチロに申しわけない」
って腹立たしくて
ペットロスが余計に深くなるようでした。
でも 今になって思うと
先輩たちの言うことは間違ってなかった。
アドバイスは正しかったなぁ
って思うんですけれど・・・
それが分からなかったんです。
チロが夢で私に教えてくれるまでは。
~ ~ ~ ~ ~
結局3年かかりました
次の子を飼うまでに。
子どもや主人は「また犬を飼おうよ」って言ったけど
「よくそんな事を言えるわね。
チロが天国で聞いたら悲しむわよ」
って私が怒るから諦めたみたい。
結局 分かっていなかったのは私で
子どもたちや主人に悪いことをしてしまった
と今では後悔してます。
3年間もペットのいない暮らし
楽しみの薄い人生を
家族に味わわせてしまったんです。
チロが死んでからは
思い出すのも辛くて
写真や首輪やリードや遊び道具も
チロの思い出に繋がるものは一切
目にしたくなくて・・・
といって捨てることもできず
押入れの奥に封印するように隠してしまった。
今になって思うと
わたし・・・・チロのことを・・・
チロが死んだことに、きちんと向き合って
悲しんでやらなかった、気がするんです。
逃げてたんですね、わたし。
それに気づくきっかけになったのは
あるテレビ番組を観たからなんです。
ペットロスを扱った番組で
死んだペットのことが忘れられなくて
高額なお墓を建てたり
遺骨を宝石に仕込んだりしていました。
その時は
「その気持ちわかるなぁ」と思ったもんです。
その晩、チロが夢に出てきました。
~ ~ ~ ~ ~
私が公園のベンチに座ってコスモスを眺めていると
(いつもチロと散歩に行った公園。
チロはコスモスが風にゆれるのを見るのが好きでした)
滑り台の上から
何かが転がるように降りて来るんです
?と思って目を凝らすと
大きな翡翠の勾玉で五つか六つ
それが滑り台で落ちて加速をつけると
フワーっと宙に浮きあがり
輪になってグルグルと回転し始めたんです。
「たまゆら」というのでしょうか
勾玉どうしがふれあって涼しげな音がしています。
「あ、きれい」と見とれ
たまゆらに聞きほれていたら
懐かしいチロの鳴き声がして・・・
「チロ、どこ? 会いに来てくれたの?」
鳴き声は宙で回転する勾玉から聞こえて来る。
やがて
その鳴き声が チロだけでなく
何匹もの犬の声になって響くと・・・
翡翠の勾玉が緑から白に代わり
穴が目になって・・・チロの眼になって
五つ六つの勾玉は
それぞれ茶や黒やグレーや白黒ぶちの
犬の姿に替わって
それぞれの尻尾を追ってグルグル回っているんです。
「えっ、チロ、何を言いたいの?」
って私が叫んだ寝言に主人が驚いて起こされ
そこで目が覚めました。
~ ~ ~ ~ ~
ちょうど翌日が日曜だったので
主人に夢の話をすると
主人は起き上がって書斎から何かを持って来ました。
「ほら」といって手を開くと翡翠の勾玉。
それを見て
わたし涙がどっとあふれました。
忘れていたんです。
いいえ、無理やり記憶から拭い去ろうとしていたんです。
チロの10歳の誕生日のプレゼントに
首輪にぶら下げたやった勾玉。
主人がそっとしまっておいたんです。
続く・・・
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