Story ロク1.ぼくはツイてない?

おはようございます。

《あかるく、あいかつ、あおい鳥》

 

冬の寒い日にぼくは生まれた。

どこかの小屋の床下で。

メス6匹、オス3匹の内の男の子として。

母さんのおっぱいは8つしかない。
だから
9匹が一度に乳首に吸いつくことはできない。
だから いつも競争だった。
おっぱいは温かかったけれど
母さんは痩せていたから
おなかいっぱい飲むことなんて出来ない。
でも おっぱいを飲むとウトウトし
母さんの温かい体の下で眠った。
 
母さんが床下から出てどこかに出かけた時は
ぼくたちは寒さに震えながら
身体を寄せ合って眠った。
 
 
2週間くらい経ってようやく目が開きかけた頃
人間が何人かやって来た。
母さんは牙をむいて唸ったり吠えたりしたけれど
棒で突かれ 仕方なくぼくたちから離れた。
人間たちは
床下からぼくたちを1匹1匹網ですくい始めた。
母さんはそばに寄ろうとしたけれど
人間に蹴り飛ばされて
キャンキャンと吠えることしか出来なかった。
ぼくたちは段ボール箱に入れられ 車に積まれた。
車が走り出すと
母さんはワンワン鳴きながら
後を追って来たけれど・・・
やがて母さんの鳴き声は聞こえなくなった。
ぼくたちはクーンク-ン鳴いた。
 
ぼくたち兄妹は保健所に運ばれた。
 
生まれてまだ2週間くらい。
だから
おっぱいしか飲めない。
保健所では

手間がかかるから

1週間の期限を待たずに

センターに送られてしまうらしい。

そこでどうなるのかぼくは知らない。

 
ぼくたちが保健所に連れて来られたことを知り

青い鳥という動物愛護団体が駆けつけて来て

ぼくたち9匹を全部引き取ってくれた。

これがその時の写真。

右の箱のいちばん上がぼく?らしい。

あんまりいいポジションじゃない。

 

ぼくたちはまだミルクしか飲めないので

青い鳥の人たちはたいへんだ。

左下の矢印がぼく。

 

青い鳥のスタッフは100匹もの犬猫の世話で忙しく

9匹に1日何度もミルクを飲ませる時間がない。

だからぼくたちは

5人の一時預かりさんに分散して預けられた。

 

青い鳥の人が夜中まで1軒1軒を回って。

Mさん1匹 Yさん2匹 Mさん2匹 

Oさん2匹 Sさん2匹 というように。

 

ぼくたち2匹はSさんに預けられた。

 

左側のお尻だけ写っているのがぼく。

写真の写り方ひとつをとっても

この頃から

ぼくはツイてなかったようだ。

・・・そんな気がする。

 
ぼくたち2匹を預かって
ミルクを飲ませて育ててくれたSさんが
青い鳥にメールを送った。

 

📧

今晩は。

2匹とも凄く元気です
食欲旺盛、💩も問題なし
名前は白の多いほうがチビちゃん。

 

黒が多い方が、顔にほくろがあるのでロクちゃん。

 

とても可愛いくいい子です。
良くとれませんでしたが、写真をおくります。
また、連絡いれます。

 

ほくろがあるからロクちゃん・・・だって?

おまけに写真も ぼくのほうはピンぼけ!

ぼくは やっぱり ツイてない・・・

アンラッキーボーイなんじゃろか?

 

続く・・・

 

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