おはようございます
《あかるく あいかつ あおい鳥》
それはある日のこと
こんなお喋りから始まりました。
いつも熱心に青い鳥を助けて下さっている
ボランティアの「ランさん」は
「わたしの主食は本かも」
というくらいの読書家ですが
「青い鳥に来はじめてから
動物愛護関係の本を読むようになって
いつの間にか100冊を超えた」
・・・と 恥ずかしそうに笑いました。
「えっ それってスゴイよ!
ひとりで仕舞っておくのはもったいない。
面白い本があったらみんなに紹介してよ」
と頼んだら
「そうね・・・・・・」と
指を額にあて5~6秒考えてから
・・・ということで
紹介文を寄稿して頂くことになりました。
どんなお話が飛び出すか楽しみ。
きょうはその1回目です。
猫の歴史と数々のエピソードを
織り込んだタペストリーのような本
「猫は犬より働いた」
「猫は犬より働いた」
須磨章(柏書房 2004年)
タイトルに引かれ手に取りました。
「えっ、猫は寝てばかりであまり働かないでしょ?」
と思っていたのですが
この本を読むと「なるほど!」と感心させられます。
そればかりか
「社会貢献・人間貢献」の分野では
犬に比べ劣勢と思っていた猫が
こんなにも世のため人のために働いてきたのか
と感謝の気持ちがあふれ
猫を見る目も今までとは違ってきます。
著者はNHKディレクターとして長年働いて来た方で
局内外の豊富な資料に接することができたのでしょう。
古今東西の「猫話し」を拾い上げ
猫の歴史と数々のエピソードを織り込んで
タペストリーのような1冊に仕立てています。
また、野良の母猫にほだされて猫と接するようになった、
という著者が各章に自らの野良猫との交流記も挿入し
「動物愛護」の気持ちにあふれた文章が
大らかで優しい雰囲気を醸し出しています。
だから気張らず気軽に
猫のようにゴロゴロ寝転んで楽しく読めます。
🙀🙀🙀🙀🙀
先ずここで紹介される猫の役目を列挙しますと
「愛玩・癒し」「ネズミ捕り」は当然として
「神の化身」「魔女の化身」「招き猫」「地震予知」
などの他にも「猫時計」「警察猫」「クローン猫」
「サーカス猫」など実に多彩で驚かされます。
しかも「ネズミ捕り」の分野では
船舶・養蚕・穀物・ウイスキー酒造・・・と
物品をネズミから守り産業を支えて来た
長い歴史があります。
またネズミが媒介するペストの撲滅にも
大活躍したそうです。
🙀 🙀 🙀
世界中で猛威を振るったペストが
明治32年に日本にも上陸しますが
細菌学者の北里柴三郎と猫が
大きな役割を果たしました。
北里博士は
猫がペスト菌への耐性を持っていることに気づき
ペスト菌を持つネズミの駆除には
薬品や道具を使うよりも
猫の力を借りるのが一番だと判断しました。
そして
①各家庭で必ず猫を飼う制度を設け、
違反しないよう時どき警察官を臨検させる。
②懸賞法を設けて鼠捕りの巧みな猫の種類を集める。
③世界各地から鼠捕りに長けた
②懸賞法を設けて鼠捕りの巧みな猫の種類を集める。
③世界各地から鼠捕りに長けた
猫の種類を探して輸入し繁殖させる。
・・・などの「猫奨励策」を発表します。
国もこれに同調し警視庁が
「家毎に猫を飼うべし」との通達を出しますが
一家に一匹の猫を叶えるには数が足りず
ドイツから1万5千匹の猫を輸入しました。
これが功を奏したかどうか
4年後には患者数がゼロになり
日本のペストは終息したそうです。
まさに「猫 さまさま」の有難いエピソード。
🙀 🙀 🙀
また「猫時計」とは何か?・・・というと
時計が高価で上流階級しか持てなかった
(もちろん携帯時計や腕時計などない)時代に
猫の瞳が光に反応して丸くなったり
糸のように細くなったりするのを見て
時刻を判断するのに役立ったという話です。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の際にも
「陣中時計」として2匹の猫が連れて行かれた
というエピソードや
中国を旅したキリスト教宣教師の話として・・・
農村で中国人の少年に時をたずねると
猫を抱えて来て「まだ正午にはなっていない」
といって猫の瞳を見せた。
というエピソードなどが紹介されています。
その他にも
大英博物館でネズミ番として飼われていた猫の
餌代が正式に予算として計上されていたとか
マリー・アントワネットが飼っていた6匹の猫は
彼女が処刑された後アメリカに運ばれたとか
サーカスで演技する猫を調教するロシア人女性とか
キャビアの密輸取り締まりに活躍した警察猫とか
楽しめる話がいっぱい紹介されています。
🙀 🙀 🙀
著者の動物愛護にふれた部分も
紹介しておきましょう。
塀の上で日向ぼっこをする猫の頭を、
ランドセルをしょった学校帰りの子供たちが
かわるがわる撫でていくほのぼのとした光景。
そんな日本の風景は消えていく運命にあるのだろうか。
“半野良半家猫”が人々と交わりながら暮らす空間は、
日本にはないというのも寂しい。
今の私たちの社会に、もうちょっとゆとりというか、
懐の深さがあってもいいのではないだろうか。
苦情は苦情として、
住民同士で解決していく力を、
地域にも取り戻すことが必要なのだ。
私は、猫くらいは
勝手気ままに歩いていられる世の中のほうが、
健全な社会だと思っている。
猫が快適で暮らしやすい社会は、
私たち人間にとっても住みやすいはずだ。
猫を私たちの枠にはめるだけではなく、
少しは猫の方に私たちを合わせてみるのも
悪いことではないだろう。
まったく同感です。
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