おはようございます。
《あかるく、あいかつ、あおい鳥》です。
空は半年ぶりに帰って来ました。
2・5か月で送り出して
今は9か月の立派なお兄ちゃんです。
でも、自分の落ち着ける家を失いました。
あの日、返された時の
空の不安そうな顔が忘れられません。
・・・とスタッフの一人は述懐します。
ちょうどその日は譲渡会の前日で
スタッフは準備に追われていました。
だから空にやさしく声をかけてやる時間も
あまり取れませんでした。
~* シェルター *~
ぼくはずーっとご主人様が戻って来るのを待っていた。
ぼくが以前にいた時は子犬部屋だったから
このシェルターに入るのは初めてだ。
通路の両脇にケージがいっぱい並んでいて
大人の犬たちの匂いや声がする。
ぼくはやっぱり心配だった。
お気に入りのハウスにもぐり込んでいれば
ご主人様やお家の匂いがするから、少し安心できる。
でも、早くお家に帰りたいな。
いつご主人様はぼくを迎えに来てくれるんだろう?
空は里親様の元で、3回のワクチン、
狂犬病とフィラリア予防、去勢手術も済んでいました。
室内で飼われ 人にも慣れているので
すぐに新しい里親様が見つかると予測しました。
また気分転換にもなるだろうと思い
翌日の譲渡会に参加させることにしました。
~* 1月29日 譲渡会 *~
翌日は雨だった。
ぼくも子犬たちと一緒に車で会場に運ばれ
ケージに入れられた。
やがて人がたくさんやって来た。
こんなに大勢いるのを見るのは初めてだ。
子犬たちは元気にはしゃいでいるけど
ぼくは とてもそんな気になれなかった。
人がケージの前に立つたびに
ぼくは「迎えに来た!」と胸を躍らせた。
でもご主人様じゃなかった。
しょんぼりしているぼくには 誰も興味を持たなかった。
元気がない犬だと思われたんだろう。
ぼくは疲れてぐったりと床に寝てしまった。
きのうからいろんなことがあったからね。
ポキッと折れてしまったんだ。
犬にだって心はあるんだよ。
*今になって思うと・・・
戻って来た翌日に空を譲渡会に連れて行ったのは
可哀そうだったかもしれません。
でもその時は 一日も早くまた幸せを掴んでほしい
・・・と そう思ったのです。
こうして空はシェルターに帰って来ました。
ボードの写真に「交渉中」のタグが貼られたのは
生後2か月の子犬ばかりです。
右上の黒犬クロスも1週間後に譲渡が決まりました。
タグが貼ってないのは9か月の空と3・5か月のイチローです。
日本では子犬ばかりに譲渡が殺到し
大きくなると申し込みが激減するのが現実です。
それだけに
幼い時に譲渡され大きくなってから飼育放棄されるのが
犬や猫たちにとってどれほど過酷なことか
どれほど罪深いことか
ぜひ知っていただきたいと存じます。
あれだけ待ち続けたご主人様は
この日も帰っては来ませんでした。
空はポキッと折れた心のまま
シェルターに戻って来ました。
続く・・・